2014年7月16日水曜日

ペテロの葬列



ペテロの葬列 宮部みゆき 集英社

杉村三郎シリーズ第3弾。しかしこの話から読み始めてしまった。前作「名もなき毒」の内容は今回結構描かれていたので大筋は理解したが今回に引き継がれている心理的影響までは汲み取っていない。残念。

巨大コンツェルンの会長娘婿の杉村三郎は、社内報の副編である。OBの大物の取材帰りに乗ったバスが乗っ取られることから話は始まる。

Sensitivity Trainingとマルチ商法と浮気の話。ひっくるめると「裏切り」の話。

内容は暗くドロドロしたものだが、主人公杉村三郎と義父今多嘉親のおかげでサッパリした読後感となった。

下の絵は本文中にも出てくるレンブラント 「ペテロの否認」。連れてゆかれるイエスが、イエスなど知らないと言っているペテロを振り返っているところ。

この本の題名が意図するところは何だろう。「裏切り者」埋葬するための人々の葬列なのか、「裏切り者」が並んで「死」「破滅」に向かって歩いているところなのか。私は後者だと思う。


                    
ペテロは下で中庭にいたが、大祭司の女中のひとりがきて、ペテロが火にあたっているのを見ると、彼を見つめて、「あなたもあのナザレ人イエスと一緒だった」と言った。するとペテロはそれを打ち消して、「わたしは知らない。あなたの言うことがなんの事か、わからない」と言って、庭口の方に出て行った。ところが、先の女中が彼を見て、そばに立っていた人々に、またもや「この人はあの仲間のひとりです」と言いだした。ペテロは再びそれを打ち消した。しばらくして、そばに立っていた人たちがまたペテロに言った、「確かにあなたは彼らの仲間だ。あなたもガリラヤ人だから」。しかし、彼は、「あなたがたの話しているその人のことは何も知らない」と言い張って、激しく誓いはじめた。するとすぐ、にわとりが二度目に鳴いた。ペテロは、「にわとりが二度鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われたイエスの言葉を思い出し、そして思いかえして泣きつづけた。(マルコによる福音書14:66-72)

無駄な知識
「ペテロ」「ペトロ」は聖ペトロにちなむヨーロッパ諸言語の一般的な男性名としても用いられ、現代言語ではえ英語のピーター、フランス語のピエール、イタリア語のピエトロ、ドイツ語のペータースペイン語・ポルトガル語のペドロ、ロシア語のピョートルなどと発音される。


☆☆☆☆★

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