2023年3月16日木曜日

地図と拳

 

著者 : 小川哲
集英社
発売日 : 2022-06-24
第168回直木賞受賞作。物理的に重く厚い本であった。直木賞受賞作にしては理解しにくい物語だった。
日露戦争前、義和団事件の頃から第二次世界大戦の終戦頃まで満州の架空の町、李家鎮が舞台の中心。
歴史的には義和団の基となった義和拳、彼ら空手のような拳術を習い、呪文を唱えると神通力を得て刀や鉄砲にも傷つかないと信じていたらしい。題名の拳はその拳なのだろうか。物語では後に孫悟空と名乗る男は、毎日わき腹を土山に打ちつけることで鉄砲の玉に負けない体を得る。
そしてロシアから来た神父の造った地図には青龍島という架空の島が描かれている。それが何のために描かれたのか。それを解き明かそうとした男は満州で戦死した男の未亡人を妻とし、須野明男(スノアケオ)というギリシャ神話の水の神であるオケアノスを逆から読んだ名の子供を得る。そして長い物語は建築とは何かと問いながら進んでゆく。
★★★★☆

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