2014年9月24日水曜日

海うそ



海うそ 梨木香歩 岩波書店

昭和の初め、人文地理学の研究者、秋野は南九州の遅島へ赴く。かつて修験道の霊山があったその島は、豊かで変化に富んだ自然の中に、無残にかき消された人々の祈りの跡を抱いて、彼の心を捉えて離さない。そして、地図に残された「海うそ」ということば・・・。
五十数年後、不思議な縁に導かれ、秋野は再び島を訪れる。いくつもの喪失を超えて、秋野が辿り着いた真実とは。

中世の地鎮のための木簡に「吾都」と書かれていた。「あと」と呟いた秋野は「波音(はと)村」は「吾都」、わが都だったのだと思い至る。

五十数年振りに海うそを見た秋野に、息子は綺麗だという。そして良信の防塁に似ているという。

何かがわかったようなわからないような・・・。そんな終わりだった。

明治時代の一地方における廃仏毀釈のありようの一部をみた。

☆☆☆☆★

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